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松井良彦監督「追悼のざわめき」

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星4、4 松井良彦監督のカルトな美醜作。死のざわめき。またはふらついた腐臭と美貌



1988年作品。
製作安岡卓治。
松井良彦脚本監督 。


本作、松江監督テレビ作品「そのおこだわり俺にもくれよ」で今の旬、斉藤工がレコメンして見せていたのが、これ。木箱に入っていた高級アダルトビデオのような壮丁だった。
(斉藤工目線で見ると、女優2人〈松岡茉優・伊藤沙莉〉にこれでもくらえ!的な感じだろうなあと感じる。のち斉藤工監督作に2人出演。)

以前「映画秘宝」のソフト化情報やカルト特集で読んだ気がする。

なんやらタイトルからは、退廃系
女性にもたれかかる丸坊主男性からは、美しい甘さ甘えを感じる。

何気にマイビデオ屋を見ていたら

「アッ!見つけた!」

速攻この退廃臭感じる本作レンタルしました。



まず、注意ねがいます。グロ、エグ、意地悪い描写満載だ、体力耐性ある方のみ、女性は要注意。

はじめは、見ているうちに
意図的な意地悪というか
わざとらしい悪意というか
見せつけたい痰壺の中味、臭いものの蓋を開けるというか
そんな感覚をあざとくもぶつ切りに見る感じで眺めていく。

しかし、いつしか
本作の不連続な悪たる臭いに純真たる幻想がまじってくる。そして一見不連続に見えた画面から何か強烈な存在感たるなんらかの台詞のないまさしく「ざわめき」たる台詞無き映像の饒舌な主張が

時に寒々しく
時に卑怯卑劣で
時に憎たらしく
時にわざとらしさを強調連呼
時に唾やわらわらい
時にばかばかしいくち
時にいじめ
時に汚物、血、いろんな液体、腐食、死体、死
時に腰をふり、それは人間か?自然か?

とうとう等々

余韻たる悪い臭いを感じさせる。

だがしかし時にハッと息を飲むほどの美しさに囚われ、囲まれる瞬間があった。

純朴坊主少年と未成年のような美しき少女の奇妙な空間。これが実に、実に素晴らしい。

浮き立ち痰壺界の幼い白鳥のような時空間を作り出す。

あまりにもざわついた追悼感の歌に囲まれるので、2人のみずみずしさに集中する。必見。

覗く目のショットの美しさ
不思議なリズムのケンケンパ
たがいにどこかひかれつつ冷たい距離

それはピュアの理想なのか?
フラフラ登場する佐野和宏の過去なのか?
幻想なのか?
佐野のセックス中の夢の夢か?
それは、わからない。だが、ふたりは連れ添い、歩き回る。

物語は、ないのだが、3分割したような映像がある。

佐野のドヤ街の奇行
佐野が仕事する男女の話
若い男女のブラブラ
が連鎖的につながる。
そこに浮遊する汚い男の独歩がかぶさる。この方も必見。すごい見てくれとすごい所作。あなたは彼に何をみるか?

松井監督のなかの汚さと美しさを画面にそろべようと意外にも緻密な映画だと見終えて感じてきます。し、若さや勢いだけじゃ作れない、積年の思いも感じた。魂入ってます。

ラストの恐ろしいほどのドキュメンタルな投げ出しにやっぱりびっくりさせられた。あれはこの映画の有様なのか?いやリアルざわめきなんか?

と見た後あまりにも感情がぐるぐる。はじめの方は、なんかわざとらしいかなと思いながらも、次第にこころは松井監督のざわめきにつぶされて
笑われて
臭いを感じさせられ
一瞬注射のような美しさをみせられ
ラスト高低に校庭にはなたれる(苦笑)

だからこそ

この映画はきっとカルトと呼ばれ、
神格化、
特殊化、
映写技師嘔吐?!、
上映困難

な領域まで登り詰めたのだろうと推測。
いやあ恐れ入りました。
そしてこれはカルト化の傾向なんですが、


また見たくなる強い吸引力があるのも確かだ。



さて
松井良彦監督のカルトな美醜作。
死のざわめき。
またはふらついた腐臭と美貌

ホラー、カルト映画ファンは、マストにおすすめ!

追記
いやあDVDほしいけど、しらべたら!たあああけえ!
2017年自宅鑑賞ナンバーワンです、断トツに。

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