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塚本晋也監督「野火」

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星4、6 生ける野に歩き、死するひとの見る火



製作、海獣シアター。
原作大岡昇平。音楽石川忠。
編集、主演、脚本、監督塚本晋也。



日本が誇るホラー作家、お気に入り監督!塚本晋也監督の最新作。

監督解説やおさらい解説、省略割愛。いきなり本感想。



注意。今までのSF、サイバーデス系の塚本監督感性は、一切皆無です。

ひたすらに実録、低予算ながらも塚本監督の戦争映画であります。

グロありますが、本作には不可欠たる、実の録たる見逃せない事象だと私は、思います。それが、戦の状況なんだと思うのです。


シナリオ本を再読し、今、書いている。再見しようと思ったが、レンタルじゃなく欲しい。

2015年日本映画ベストの作品だ。というより、塚本監督の最高傑作たる作品であり、これまたらしくないある意味、異色作品だ。

原作は、「双生児」以来の映画化で念願の企画の戦記もの。

舞台はフィリピン、たが、見てみるとただただ圧倒的な莫大な自然が映りこんでくる。しかし、この映画の自然の意味あいは、至極美しくない!

野火を見て、まるでゾンビのような日本兵を包み、苦しめるのみ。

塚本さん、リアルゾンビ映画だよ!と見終えたあとふらふらの見た印象の重みにつられ、パンフを購入した。のち大岡昇平「野火」新潮社文庫を買い、まだ読めてない。

次々と鑑賞後、賞賛の声、芸能人コメント、賞受賞、ミニシアター沸騰。嬉しい悲鳴だった。

だって政の治が、逆行するマツリを展開するなか、本作の重みは、しっかり伝わっているんだ、良かった。


私は、
本作の最重要シーンにまさしく心が撃ち抜かれたような気がしたのだ!

えっ!あんな事、あんな事あり得るのって!いや、ありえてるんだよ!て。
何度も鑑賞後反芻して、思い返してみた。

そして、タダ思う。

戦争って!なんなん?

嫌にきまってるじゃないかよ!本作の森をさまようリアルゾンビのような戦況

芋をめぐり
弱者をぶんなぐり
ただただ取り残された
灼熱の自然に放たれた戦況にわれわれ観客は、はなたれます。体感するのです。

この飢餓戦況に野火を見て、死を見て、戦争を見て

今のポテトチップが旨いと思われる 今を感じてくるわけです。

田村を演じた茶色顔の塚本監督
反則技のようなリリー悪フランキー
こしゃくなグレーゾーン若造永松こと田村優。田村さんは無名ですが、素晴らしい力演です!
あと忘れちゃいけない冒頭の山本浩司必見!

全て美しくも見えそうな風景も

なんとも血生臭い
さながら私の脳内は、ゾンビドキュメンタリー映画をディスカバリーチャンネルみながら見てしまったような、また見たことない衝撃を感じ、パンフを握りしめ

塚本さん、素晴らしすぎましたとつぶやきシネウインドを後にしました。

それがもう1年前。

ここまでレビューひっぱりすぎましたが、2015年の日本映画内では、最良かつ積年の塚本監督の執念を感じる1本でありました。


見逃した方は、ぜひ!

さて
塚本監督渾身の一本
生ける野に歩き、死するひとの見る火

日本映画また傑作生まれました。

追伸
市川崑版も本作鑑賞後みましたが、味が違いすぎてびっくり。

私は、塚本版の魅力がこびりつきすぎてはなれませんてな感じで、

もう市川崑版を失念しそうです。

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