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大林宣彦監督「転校生」

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星4、5  大林監督、おれがおまえであいつが私で



1982年、ATG、日本テレビ放送網。製作大林恭子。原作山中恒。脚本剣持亘。監督大林宣彦。



「金曜ロードショー」で見たのが最初。

なぜかベータテレビ録画もしてあった。

なんか
度々見ているうちに「転校生」に魅了されている自分。

それは、小林さん、尾美くんに魅せられている自分。
完全にふたりの世界観、演技に魅了されていた。

のちバップビデオ「転校生」を見直す。テレビ放映カット部分も含め見直したかった。  

そして大林宣彦監督に魅了された。お気に入りの監督、日本のある意味「大林教」の仲間入り、だいぶ見た。


何度もコマ落としを確認したくなる土曜日の!実験室!という名のタイムリープは、原田の風「時をかける少女」。どっぷり涙した。

石田姉妹からのべたびったりな赤川ワールドオブザ
姉妹「ふたり」

集約する長岡魂。花火の一輪を恐ろしいほどの情報集約力たる画面ナレーション。字幕スーパーを恥ずかしげもなくぶちこみ、花火をあげた新潟長岡にまつわるスーパー大林歴史戦火物語「あの空の花」


等々おおむね見てきた大林ワールド。

中古で本作が売ってたので即行VAP DVDゲットしたので再見しました。




(ネタばれします。注意)





白黒にうつる尾道という日本

「俺」こと私になる8ミリ青年、尾美としのり

いきなり出向くノゾキ
女子更衣室
そこで腰をうち、

「おかまになんかならないぞ!」

映画冒頭発言は、映画のセオリー通りに、その後おかまを披露し、なっていく。我々が翻弄、魅了される。

転校生は、舌をチロッとみせる小林聡美。
ゴローちゃん!と転校生キャラにない厚かましい口調で主役にぐいぐいよってくる。

白黒画面のやけに坂をのぼりくだりする風景にふたりの自己紹介のようなチェイス

スカートめくりは、初めての2人のラブがつながる

次のラブは、あの神社だ!行かなきゃいいあの缶蹴りだ。

2人は絡み合いながら、転がり愛ながら、画面はコマ落としの素晴らしい階段落ちシーンをみせる。

エイゼンシュタインの「ポチョムキン」のような

デパルマの「アンタッチャブル」のような

華麗なる大林8ミリマジックは、画面を色づかせるきっかけを作る。

抱き合い、頭と股をかき
2人は新たな踏切を越え階段を降り
カラー色づく本作のヘンゲの舞台に映画ははじまるのだ!

転校生だ!

カラーにかわる列車走行シーンのきれいなこと

2人のまさしく
俺が私になり

私が俺か?の演技にとことん魅了され、見そめられていく。

はじめ、ラストがおかしい?とすら思ったんだ。

なんで尾美くんは!男に戻るの。女でいいじゃん!って、その瞬間をまだみたい、みていたい。  

この、入れ替わった姿を見ていたいと思わせる魅力こそ本作の青春たる映画の魅力だと思う。

時代や風俗や髪型やファッションが古びたとしても。


小林さんのがに股、初初しい胸のショックからの男根さながらの面倒くささたる男の子っぷりをまだまだ見たいと思っていた。

白黒の車越しの別れが、少し嫌だった。あと2人が男らしさ、女らしさが見える瞬間をひたすら白黒画面の演技に探した。 

聡美あなた、女の子なの?
尾美、あなたの男の子らしい口火をきろよ!と。白黒の画面に問いかける。

さよなら私
さよなら俺

8ミリを撮る少年は、ひたすら追いかけ、スピードに負け、運命をうけいれた小林の歩く姿を撮る。映画の終わりだ。



樹木希林、佐藤充、宍戸錠、志保美悦子とそうそうたる脇がかため

転向する性を受け止める

性を越えたふたりの運命を尾道にSFチックなとりかえを見せてくれた小林、尾美の演技にやっぱり笑い、ハラハラし、ドキッとした。

性が変わった2人に涙と笑いとはらはらとを貰った。

特典を読むと印象的なクラシックも実は苦肉の作で、製作のゴタゴタより予算削減から権利安な無許可クラシックを採用したとか。これは、予想だにしなかった。

低予算ながらもヒットにつなげ、次の「ねらわれた学園」「時をかける少女」の角川大林につながるとか。

今回特典資料を読んで製作苦労を知った。



さて
大林「尾道」青春突破作!

転ずる性の校

転校してきたあいつはおれ
わたしはあいつに

大林監督、おれがおまえであいつが私で    

是非ご覧ください。

追伸
「転校生さよなはあなた」もレビュー致します。

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