星5つ ポパイの追いかけても止まらぬ怒り フリードキンの揺れるチェイス
予告 The French Connection (1971) Trailer
1971年作品。アカデミー作品・脚色・編集賞、監督賞ウィリアムフリードキン。主演男優賞ジーンハックマン受賞。
全国のイオンシネマで展開中のリバイバル映画プログラム 「シネパス」
そのなかの上映で一番楽しみだったこの 3月 その第一弾がこれ
「フレンチコネクション」 でした。
確かVHSダビングを見てからすぐにした記憶。揺さぶられた刑事映画でした。
僕にとっては、「ダーティーハリー」より
「ブリット」より
「リーサルウェポン」より
本作は、好きですし、また、続編の極めつけの地味で自堕落な続編を含め 優れたア
メリカ産の刑事映画だと思っていました。
それが劇場で見れるならということでいって来ました。ちょうど同じ時間帯でロッセンの「ハスラー」も上映されていて、もう泣く泣くあきらめました。「ハスラー」も見たかったんですけど、、、本作の爆走するフィルムの振動を確認したくこちらをチョイスしました。
いやー素晴らしかったんですよ、、、、。もう終盤のカーチェイスのすんごい気分の高揚がはんぱないんです、、、。フィルムが振動しているんですよね。あの感じ、、、。 アカデミー賞なんて吹き飛ばすくらい
あの電車と車のカーチェイス が この映画の持ち味を規定しています。
そしてあの ラスト、、、、まああ後味悪いこと。
ヒーローイズムも、
勧善懲悪の英雄きどりも
何も無い
現実のつらい残務整理のような後味です。そこがいいです、、、きっと。
あと本作の持ち味のよさの一つが「ロイシャイダー」です。
ムチャクチャのポパイを支える相棒として 寡黙にもついていく感じです。追っかけて、間違っていてもついていく感じです。「2」でいなくなる寂しさを感じる方は、きっとロイシャイダーを好きでしょう。
そしてこの方の存在感です。そしてチェイスを制す あの電車のしぐさに どれだけの人の「怒り」をスマートにいきりたたせたことでしょう。
フェルナンド・レイ
あのスーパー紳士悪の素晴らしさのヒール役の魅力がありました。
そして勿論この日本猿のようなチャーミング顔のマルセル・ボズフィ。
撃たれてるのがマルセルです。ねたばれもいいとこですが、、。マルセルは、アランドロンの映画「ルジダン」やメルヴィルの「サムライ」など好きなフレンチノワールに出ていた男優です。口数少ない。確実に仕留めるような怖い存在の悪です。上記写真になるまでのラストの結末、あっけない感じもいいです。
ここで血みどろにしたり
主役に一つ決め台詞いわせたりしない
大げさに警察で取り囲んだりしない
そこが本作の真価
だと思いたいですね。ポパイの怒りが実を結ぶカタルシスがあると思います。
そしてこのシーンなんです。
このカットがもう映画史に残るんだと思いましたね。見てて。すんゴインスヨ。この怒った「ジーンハックマン」の顔面が、とにかく素晴らしいんですね。何回もチェイスしながらしつこく
「くそっ」
という顔を見せますが、われわれの心がフィルムのスピードとともにシンクロしていくんです。
この猛烈なスピードのカメラワークの素晴らしさと 上記のジーンハックマンの
「このっ」
というカットバックの連続 怒りのクレチョフ効果となって興奮を誘います。
どんな刑事ものでもまねできない、太刀打ちできないフリードキンの芸術を私は見た気がします。
途中女性を引きそうになるんですよね、、、、。このときの
「ハッぁぁぁぁぁぁぁっ」
っとする瞬間に われわれは、映画の幸福な恐怖の瞬間につつまれます。「アブなぁぁーー」みたいな感慨に、、、。
このチェイスのカットバックは、本当に必見です。電車と車の併走をひとつのショットにおさめたり 神ががり的なムチャをしてます。そこが素晴らしすぎるんですよね。
それは、伏線のごとく冒頭のサンタ姿のハックマンから走る姿から種をまいていて、、、。
ハックマンの尋常じゃない ポパイの怒り をことごとく魅せつけられます。
きっと、警察内では、鼻つまみの風紀乱し警官かもしれません、、、。そこに観客は魅了されるんだと思いましたね。
無茶もカンだけで強行突破し、同僚もぶちのめすその強固な怒り 歯止めもラストは、不快な結果を残しこの映画は終わります。
英雄とか、捕まえてオッケーとか、格好つけてとりしまる刑事映画が多い中 異彩のゆえんだと思います。
ラストのなんか ほげなげだされた 結末のぼやかした 描きこまなさ
音楽ドンエリスの不協和音のようなノイズ音のような冷たい調べに乗り クレジットみつめ 劇場を後にしました。
なんだよこの映画は、、、。と本当に思いましたね。ゴタクも少ない映画です。
チェイスをリアルに表現した映画でもありますし、
張り込みの時間の経過の仕方もじっくり描いてます。盗聴して笑ったりしてます。
張り込みの時間の退屈さや粗末な食事や ポパイのさみしい独り身の生活観の描写素晴らしかったです。手錠プレイしてましたね、、(笑)
とことんリアルに描写する フリードキンの演出がアカデミーにそして観客に伝達しています。
ラストも 追っかけて追っかけても ヤルまで止まらない怒りは、、、理解を通り越すんですよね、、、。それラストの素晴らしい喪失感につながるんではないかと思います。 サラッとしたあっけなさともとられるこのフイルム締め具合の潔さを感じます。
フリードキン、テレビからドキュメンタリー出身なんですね。ほか見れない作品もありますが、際だった作品だけで 映画史に乗った巨匠です。大好きです。
エクソシストのシャツを着たフリードキン
カーチェイスのシーンで明らかに 私アドレナリンがあがりまして、、、、
もう逆走しまくっているんですよね、、、。けどはやくはやくと心は、駆け巡るんですよ 興奮するんですよね それが 映画なんじゃないかなと 名画だなと。
さて
フリードキンのフレンチコネクション
ポパイの追いかけても止まらぬ怒り
フリードキンの揺れるチェイス
ぜひ ごらんください。見てない方は、かわいそうです。ぜひぜひ
追伸
ブルーレイで本作を購入しようかなと思ってます。
追記
この「シネパス」来期も開催お願いします。