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大島渚脚本監督「戦場のメリークリスマス」

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星5、0 大島渚の捕虜収容所のメリークリスマス



1983年日本、イギリス作品。123分。
製作ジェミリートーマス。
原作ローレンスヴァンデルポスト。
脚本ポールメイヤーズバーグ。
脚本監督大島渚。



毎年12月に昔はよく放送していた。初見は10代のテレビ放送だった。

「「ひょうきん族」のタケちゃんが出た映画か?」の軽いのりで見た。

日本人特有の軍人意識
戦争観、切腹、ホモセクシャル(見たのは本作初かも、同性愛的な概念。)
タケちゃんの容赦ない非道演技
デビッドボウイの美貌
なんともいえない異国観の戦争映画に見えた。

カンヌでは今村監督「楢山節考」と賞を争い負けた本作。私的には絶対戦メリだろーと「楢山節考」ビデオで見たあと思い直した記憶。

私の戦メリは見たこと無い世界観の戦争映画と経年変化していく。それはわたしのオールタイムベスト付近の映画に変幻してきた。

それが大島渚監督「戦場のメリークリスマス」だ。

ソフトは、紀伊国屋からやっと再発されたDVD購入。

話それるが「俺たちひょうきん族」DVDBOX(1983~1984タケちゃんマンVSアミダばばあ)の中の「タケちゃんマン」のコントの中で本作のパロディコントが収録。必見!タケちゃんは、当時の本作のカンヌじゃなく「カンナ」での賞取り争いをコントに。タケちゃんは、大島涙監督「戦場のメリーさんの羊」。サンちゃん今林昌平監督「楢山ブス考」として賞撮りの逃し具合をユーモアまじえパロっている。タケちゃん、原軍曹に扮し

「メリーさんのひつじ、ヒツジヒツジ、可愛いなあ!」

と歌うという歴史に残るパロディ(笑)
大島渚に扮し歯が物凄く前に出てます(笑)
一方全く似て無い今村昌平監督に扮した明石家さんまは、カンナで賞をとる。小森のおばちゃまが紹介、ギャグも披露!レンタルにある所は、是非見てね!ひょうきん族は、何気にパロディの宝だった。毎週やるんだもんね。今じゃ毎週炎上ネタかもね。


話を戻し、んな感じで、
2017年全国展開中のリバイバルプログラム「午前十時の映画祭8」で上映決定。あえてDVDを見ず耐え忍んだ。楽しみにしていた12月初旬、若者からいろいろな客層の方々と一緒にティジョイ新潟で見てきました。



〈思いっきりネタばれ解説有り注意!〉




ラストなんだか流れ出ていた涙にまたタケちゃんの死を恐れぬ優しいあいさつ、単なる死ぬ間際の挨拶になんだかグシャグシャにこみあげてきたのだ。ボロ泣きだった。涙をふきながら、この映画一体なんだろう。ほんとに日本映画に見えないと心底思った。

その力たる要因は、坂本龍一扮する音。このなんとも言えない音楽の素晴らしさに心は持っていかれている。ファーストカットのブルーな原軍曹が率いる行進の曲。
デビィッドボウイが度々反旗を翻す時の曲
死を迎える時の曲
ラストのテーマ曲
耳に残り画面での陰惨生々しい愛と憎しみを印象付けていたのは、間違いない力があった。それは、坂本龍一の戦慄に圧倒的に気持ちがのせられているからだ。

本作の西洋対日本人の対立。本来なら見たくもない日本人の事実であろう。

日本人の暴力であり、
日本国の軍事、軍人、戦禍における振る舞い、態度や物言い、後始末、怒りは、全て音楽家が扮する演者を見れば容赦なくわかる。わからされる。だから素晴らしいのかもしれない。
それに対抗、拮抗、はむかい、説明するデビッドボウイやローレンスことトムコンティの言説だ。デビッドボウイが隠し持つ美貌と兄弟への根深い後悔の罪だ。

音楽家とは、ヨロシクとさり気なくユウヤ語録を打ち込む元祖ロケンロール、内田裕也(輸入されたロックを英語で歌う派閥総帥。)

冒頭の朝鮮人扮するジョニー大倉。キャロルを率いたロックの名手。
デビッドボウイを叩きまくるフォークシンガーの三上寛。
ちなみに裁判官役は、今やお茶の間に浸透している若き内藤剛志さんだ。血の気がたぎった感あり。

冒頭のトカゲがニョロリト上にはいずり、青白いビートたけしが竹竿をこれみよがしにブンと振り回す。
そこは捕虜収容所だからだ。日本が統治し、命令する世界だ。まだ勝てると思ってる思わされてる日本だ。
ハラ軍曹ことタケシの忠誠と断行と暴力に悲しさと荒々しい何かを感じた。
一方妙な色気を振りまく坂本龍一の長。彼のラブのような助けから本作は、はじまる。それがなんなのか。

戦争における男対男
戦争における同性愛
戦争における助けたい
戦争における同情なのか?
戦争でも友情はふかまるのか?

女性なき捕虜収容所に生まれるドラマ
咲く身分違いの惹かれあい
思いやり
なんなのかは、わからんが、男が男に思いをかける物語だ。
想像するに同性愛ってもっといっぱいあったでしょうね、きっと。アブノーマルも常識非常識もない戦争のなかで。ましてや右や左男だらけの組織論、軍事政権なわけで。もっとグチョグチョしてたと想像する。話が死に絶えているだけでね。無数に掘り返せばあるだろうきっと。

ラストは、埋められ蛾のような蝶が生首に身にまとい死するデビッドボウイ。必見な死に様だ。あれを見て何を思うかだろう、本作の鍵となる劇的な死の表現だ。大島渚の素晴らしさだ。デビッドボウイを砂に生けるなんて素晴らしいモンタージュにつきる。

ラスト殺されるにも関わらず晴れやかかつ死する坂本龍一を思いなお悲しさを浮かべるビートたけしのあのラスト。

在り日しの立場が逆転してしまうビートタケシとトムコンティの生と死。
愉快な笑いは酒に酔うタケシから死を待つタケシに変わるのだ。戦火の時がたち、観客に非情な報いのような思いを2人の立場逆転に迫るものを感じさせる。

捕虜を人間とも思わず己の思惟のまま全員外へ出し野垂れ死にさせる坂本龍一

切腹を巡る価値の相違に阻まれるトムコンティのリアクション

ただ非道に暴力を受け、瞳の先には過去の罪を背負い、矛盾に断固抵抗し遠くを見つめるデビッドボウイ

剣を振り抜く坂本龍一と頬にストップモーションでキスをするあの素晴らしい音楽家的邂逅いやいや西洋と日本が火を散らす瞬間のなんたる美しいこと。いや一方では気色悪いのかもしれないが。それが映画だ。劇的な瞬間。記憶に残る、小さい頃からよく覚えている瞬間だった。それは素晴らしい。必見のシーンだ。

涙をふきながら劇場を後にした。



さて
大島渚のなんて気色の悪い、居心地悪いメリクリ
とある
捕虜収容所のメリークリスマス

私が大好きな映画だとこれを書きながら、思いをもう一回たぐりながらかけた。

誰かなんと言っても大島渚凄えなといえる。これ一本だけでもね!それほど大好きな映画だ。


追記
あけましておめでとうございます!
2018年最初のレビューです。
今年も情熱日本一!超独自路線でレビューしてきまーす。よろしくお願いします!

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