星5つ アーサーペン監督の 風に吹かれたボニーアンドクライド
予告
アカデミー賞 助演女優賞エステル・パーソンズ。撮影賞バーネット・ガフィ。
1967年作品。製作、主演ウォーレン・ベイティ。脚本ロバートべントンほか。
監督アーサーペン。
全国で展開のリヴァイバルプロジェクト「新午前10時の映画祭」
2014年、年末にかけて軒並み見たい作品が来る。
今回は、アメリカンニューシネマの開祖か?と諸説ある
通称「アメリカンニューシネマ」のスタート作品。私の得意分野で一番好きな映画諸作品郡が、塊のように渦をなす アメリカの映画現象をさします。
それまでの映画の表現を 赤狩りからはばたいて 規制のあった フィルム表現をより過激に、より、鮮烈に、よりだらしなく、よりセクシーに
アメリカがフィルム変革を行った、大好きな映画運動のようなものであります。
物語のセオリーを蹴っ飛ばして、
人間のありのままの 喜怒哀楽を 思いのまま 作りまくった
フィルム群「ニューシネマ」
そのスタート作品として 数ある映画評論家が、こぞって上げる作品が、これでした。
私は、ワーナーの黒いパケのVHSで20代の時に見て以来。ラストばかりしっかり記憶していて、、、肝心の中身がスッカスッカに忘却の彼方の作品でありました。
ジーンハックマンってどういう役?
ボニーとクライドの何が魅せるの?二人の恋もようは?
雰囲気は?
どのようなボーイミーツクリミナルなの?
と気になりながらも、、、このニューシネマの始まりをこの私が、見逃すわけに生きません!!!
ボーニーとクライドと一緒に心中しようと、雨降る、平日のティジョイにて鑑賞してきました。
途中から女性の方の鼻をすする 悲しい音が時々 響きます。
私は、ただただ、、、、ラストの
風にたなびく ボニーとクライドのまるで 麦か木か枝のように 撃ち抜かれる二人に 涙が二つ零れ落ち
あまりの素晴らしく 簡潔な完結に これまた 超はやいエンドクレジットに
えーーーまだ余韻にひたりたいのに 劇場から 出ろ と
光が差すことに、明るくなることに強い抵抗がありました。
オスカー受賞のエステル・パーソンズは、写真下左から2番め。ジーンハックマンの恋人です。ジーンハッククマンは、クライドことウォーレン・ベイティの兄弟でした。ウェイトレスに嫌気のさす出会いは、裸からのフェイダナウェイ。そして車屋で今回見て発見したガス屋兼運転手で意外にキーマンだった一番右のC・W・モスことマイケル・J・ポラードです。
ちなみに
実際のボニーとクライドは下。実在の人物です。
今回みた 時に 本当に繊細にアーサーペンは、割っているなぁーーーと
早いんですよね、、、冒頭の写真から ラストの風に散る瞬間のマッチを擦るような素早いモンタージュにも涙しました。
ラスト前に斜面を転がる子供にストップモーションをかけてたり。不吉な暗喩ですね、、。
意外にゲップしたり、鼻をすすったり、ボニーとクライドのいきいきとした刹那色の恋が展開してたんですね。
もちろんそれを 輝かせたのが、フェイダナウェイでありました。
時にセクシーに、時にふざけて、見下げてクライドを挑発して、時に吸引力ある甘えを魅せ、魅力的なんです。だんだんお洒落にシャレオツに変わってきます。これも必見。
いっぽう、ウォーレンは、女性をあまりすきじゃない、ム所あがりの男からスタートするんですね。そして弱いです。たまらなく強がりすぎて人をあやめますがね、、、。
ボニーとクライドがはじめて セックスで結ばれて 殺されかけて そして 、、、、なんですね。そんな恋模様が、あったんです。
そして馬鹿騒ぎばかりの 車内をひたすら うつします。 無いようなんて無いんですね、明日のない車内には、ハンバーガーと空響きのバンジョーの疾走が映画をつつみます。
ちなみに写真のジーンハックマンの隣が、ジーンワイルダーでした。ひょこっとでてきます。このフェィダナウェイの瞳の素晴らしさ。。。
世界に名が轟くとは、思ってもいない 犯罪者にスポットをあてて
ただただ今を享楽的にいき急ぐ 職業銀行強盗の彼ら、、、、。
彼らを助けるのは、ジプシーのような貧しいはずれの人々だったのも、実に細やかに表現されてました。
特にラスト寸前の ボニーとクライドの瞳と瞳がズームになった瞬間が きましたね、、、ぐうぐううううううっと感動しましたね。感動したと思ったらそこには、蜂の巣のような
「死」が訪れます。ちゃんと映画で死を引き伸ばした最初の作品かもしれませんね、、、。映画の特性であります。死をいかに魅せるって、、、。
うちぬかれであります。ずいぶん軽い「死」の映画があふれてますがね、、、ちまたには、、、、。
なにもない田舎道に響く バンジョーの調べ 傷ついたときのバンジョーの音がまことにふがいなく ちょっと笑ってしまいました。
以後 こういう 血糊スプラッシュする 男女恋愛ラブアクションの走りですが、本作の詩情性というか、二人の愛を実際つきあっていただろうなぁとも思わせるような、、、素晴らしい恋愛表情を魅せる ウォーレンとフェィに ただただ
魅了され、、、
この 悪い事をしている
犯罪者の二人に 最後 涙を 落涙させてしまうのでした。あまりにも虫けらのような あつかいの銃撃に衝撃に言葉を失います。
それが、この映画のたまらない 人間のどうしようもなさ なんだとおもいましたね。。。
さて
アーサーペンがぶっぱなった
アメリカンニューシネマ
涙二つを激烈に目からはなたせた
フェィとウォーレンに
あい らぶ しねま ゆー
でございました。。。。
追伸
本当のこういうボーイミーツクリミナルって好きですね。
フリッツラング(1937年)「暗黒街の弾痕」(未見)とか
テレンスマリックの「地獄の逃避行」とかなんですかね、、。
追記
本作は、トリュホーが、アメリカで映画化したかったが、失敗して流れた作品でもあります。それをウォーレンがこぎつけたんであります。ウォーレンも自身映画プロデューサーのはじめのかたです。